おはようございます! 「ー! 起きないと置いてくよー!」 「…………っ、はっ!? え、あ、何時、」 「あとごふーん」 「ごふ、え、ちょまって、伊作! ちょっと待って、あと三十分待って!」 「おっせーよアホ!!」 「おはよー、伊作ー留三郎ー」 「ほら早く後ろ乗って! また遅刻とか嫌でしょ!」 「ん〜、別に嫌ってわけじゃ」 「俺達が嫌なんだよ! 少しは連れてくこっちの身にもなれ!」 「朝から煩いなあ留三郎は。遅刻の一つや二つで」 「お前のせいで遅刻した回数が一回や二回だと思うなよ!?」 「はいはい二人とも! 、ちゃんと捕まっててよ」 「大丈夫だよ。はい、ゴー!」 「……っとに朝から疲れる奴だな……」 「時間無かったから髪ボサボサだよー」 「後で僕が直してあげるから、今は手離さないで!」 「はーい」 「…………」 (幼馴染の伊作と留三郎は、毎朝自転車で家まで迎えに来てくれます。でも朝から色々うるさいのでちょっとやめてほしいです) 辞書の貸し出しは慎重に 「文次郎! 文次郎!!」 「……なんだよ」 「辞書忘れた! 国語! 貸して!」 「国語? 電子じゃねぇぞ」 「もちもちおっけ! 次現文なのお願い!」 「おらよ」 「ありがとー! 終わったらすぐに返しに来るからっ」 「あれ? 辞書借りれたんだ」 「うん、文次郎から。ギリギリセーフ!」 「なんでよりによってアイツなんだよ?」 「仙蔵に貸しを作ると後が怖いし、2組は体育でいなかった。長次はともかく、小平太なんて持ってないだろうけどね」 「なるほどね」 「……なあ、折角借りたんだ。礼の書き込みくらいしてやろーぜ」 「よし乗った。さすが食満くん、やること分かってるねえ」 「はっ。当たり前だろ」 「ちょ、ちょっと二人とも、折角の借り物なのに……あ、でもちょっと面白そう」 「ねえマーカーない? ピンクの」 「あ、あるよー」 「…………ブハッ! おまっ、さいこ……!」 「う、うわー……」 「あいつのの反応が楽しみだな」 「もんじろー! はいこれ辞書、ありがとう!」 「おー」 「……じゃ、じゃあ、プッ、」 「?」 「あははははっ! じゃあねー!」 「…………っ!?」 『猥談』 『性欲』 『絶倫』 『欲求不満』…… 「あ、あんのバカトリオオオオオオオオ!!!!」 「きゃー! バレたー!」 「っざけんなよテメェら!! 留三郎と伊作も共犯だろ!」 「このムッツリスケベ野郎!」 「ご、ごめんね文次郎! でもぶっちゃけ楽しかった!」 「おまえらああああああああっ!!!」 「……うるさい奴らめ」 (猥語を探してそれをピンクのマーカーで塗って返したら、鬼の形相の文次郎に追いかけられました) 飲み物買い出しジャンケン 「はー、食った食った!」 「ごちそうさまでしたー」 「うーし、じゃあジャンケンすっぞ」 「ていうかもう伊作でよくない? 負けるのって大抵伊作じゃん」 「ヒドッ」 「喉が渇いているんだ、早くやるぞ」 「じゃいくよー。出っさなっきゃ負けよ、じゃーんけーん、ぽんっ!」 「「「…………」」」 「わははははっ! ざまぁみやがれ、一人負けとは伊作の不運も顔負けだな!」 「う、うっさいな文次郎!」 「今日はが負けか。先ほどの発言を撤回する必要があるな」 「うっ」 「おら、謝っとけ」 「……伊作ごめんなさい。だから負けを変わっ」 「こらあああああああ!!」 「え、嫌だけど。僕、オレンジね」 「紅茶。ストレート」 「俺はアクエリな!」 「…………烏龍茶」 「コーヒー微糖」 「俺は三ツ矢。じゃ、よろしく!」 「……なんなのよ! もう全員食中毒でトイレ様の世話になればいいわ!」 「なんだあの捨て台詞」 「とてもじゃないが女のものとは思えないな」 「ほら、買っきてあげたわよ。一口一口私に感謝して飲むことね」 「なんでジャンケンに負けたお前にそこまで言われなきゃいけないんだ」 「ありがとなー!」 「……おい」 「そういえば仙蔵は一回も負けてないよね? なんか秘訣でもあるの?」 「特にないぞ。出したいと思ったものを出すだけだ」 「……おい!」 「んー、私も基本そうなんだけどなあ。でも仙蔵に奢らせると後にまた何か要求されそうで怖いよね」 「それはどういう意味だ?」 「そのままの意味だけど?」 「おい、!」 「は、なに」 「俺はコーヒーの微糖っつったよな!? お前のそのちっせえ頭じゃ、そんな簡単なことすら覚えらんねえのか!」 「うっわ、しつれーな奴。他のはちゃんと買ってきてるし」 「明らかに意図的だな」 「だからってなあ……なんで苺オレなんだよ!?」 「うわー似合わねー」 「ピンク色の紙パックを持つだけでこんなにも気持ち悪い奴がいるとは」 「俺は苺オレも好きだぞ!」 「…………残さず、飲め」 「プッ、糖分とんないと、プククッ、脳みそが上手く、ププッ、働かないよ?」 「それらしいこと言ってても間にある耳障りな笑い声で台無しだからな」 「あっ、そろそろ時間だ。次移動だから行こう、留三郎」 「おう。じゃあな」 「じゃあな!」 「じゃあな、じゃねえだろ! どうすんだよコレ!」 「買って来たんだからちゃんと飲みなさいよねー」 「仙蔵、飲んでるとこ写メよろしく!」 「ふっざけんな!」 「誰がそんな気持ち悪い写真を取るか馬鹿者」 「……仙蔵、テメエ」 「よし、俺達も行くかー長次!」 「…………(こくり)」 (その日の食堂では、苺オレを一気飲みしてすぐさま立ち去る潮江文次郎の姿が目撃されたという) え、俺? 「……ねえ小平太」 「なんだ?」 「バレーって、いいよね」 「じゃあもバレー部に入るか?」 「私は観戦専門だから。そうじゃなくて、バレーしてる男の子ってかっこいいよねってこと」 「……そ、そうか!」 「チームプレーだし、粘り強さが必要だし、何より爽やかじゃない、バレーって」 「いいだろう、バレーは!」 「いいよねえ、バレー……」 「さえよければ、男子バレーのマネージャーでも」 「いいよねえ、不破君……」 「…………」 「あっ、サービスエース! 不破くーん、ナイッサー!!」 「…………」 「で、小平太何か言った? マネージャーとか言ってたけど、もしかして私をマネージャーに」 「ないな」 「えっ!?」 「がマネージャーなんて、まずないな!」 「言ってることさっきと真逆だし! え、なんでよ?」 「馬鹿だからだ。あと今後一切、その馬鹿のはバレー部見学禁止だ!」 「はあっ!? ちょ、えええええええええ!?」 (放課後の部活動、見に行ったらなぜか小平太に禁止令出されてしまいました。なんで!?) 夕焼けこやけでまたあした 「あー……今日もつっかれたな〜」 「お前何もしてねえだろ」 「したよ! 朝起きて、授業受けて、走って、飲み物買いに行って、また授業受けて」 「授業中寝てる奴が何を言うんだか……」 「うっさいな! ……あ、留三郎見て見て!」 「あ?」 「見てってば!」 「うお、危なっ! ばっかおま、」 「夕日が綺麗だよ!」 「……おー、たしかにな」 「なんか青春て感じだよねー。あーあ、伊作もいればよかったのに」 「仕方ねえだろ、保健の当番じゃあ」 「……ねえねえ、喉渇いたなー」 「はあ? ったく、しょうがねえな……コンビニ寄ってなんか買ってくか」 「ほんと!? やったー!」 「こういうのにはすぐ食いつくな、は」 「あったりまえでしょー! そうと決まればほらっ、全速前進! 自転車だってバイク並の速さが出ること証明するくらいに!」 「ねーよ! つーか危ねえから立つな、ってオイ!」 「えへへー立ち乗りも気持ちいいー」 「ったく……しっかりつかまってろよ!」 「はーい!」 (夕日が綺麗な帰り道、留三郎が買ってくれたアイスは今日一番美味しかった) |